大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)3385号 判決

被告人 田中三郎

〔抄 録〕

第一点について。

原判決挙示の証拠を総合すれば本件はたばこ専売法違反に該当すると共に、昭和二十四年政令第三百八十九号連合国占領軍財産等収受所持禁止令(以下政令三百八十九号と略称する)に違反する行為と認められることは所論のとおりである。そして右政令三百八十九号はいわゆるポツダム命令に属し、昭和二十五年十月三十一日政令第三百二十五号第三条によりいわゆる起訴強制が行われていたものであるから、検察官が本件事案につき右政令三百八十九号違反の点を起訴することなく、たばこ専売法違反の点のみを起訴したことは所論のように起訴の手続が法令に違反したとの観がないではないがたばこ専売法違反の起訴自体には何ら違法とすべきものはなく又、占領法規の特殊性に鑑み右起訴強制は占領軍当局の諒解があるときはその適用を排除されるものと認むべきであり、この点については昭和二十五年一月頃右占領軍当局より検察官に対し一般的に起訴不起訴を決定して差支えない旨の承認があつたものと認められるのであるから(昭和二五年一月一六日検務第八七四号刑政長官発検事長検事正あて占領目的に有害な行為からなる事件処理についてと題する通達参照)検察官がその本来の権限に基き本件について政令三百八十九号違反の点は起訴を必要としないものと認めて公訴を提起しなかつたとしてもこれを以て起訴の手続が法令に違反したものということはできない。又本件事案について政令三百八十九号違反の点とたばこ専売法違反の点はその処罰の目的を異にするものであつて、政令三百八十九号違反の故を以てたばこ専売法違反の点はこれに吸収され処罰の対象とならないものと解すべきでないことは原判決の判示するとおりである。故に本件起訴は適法であつて、原審が所論のように政令三百八十九号違反の訴因の追加を命じなかつたことも本件審理の経過に徴し所論のように違法又は不当とは認められない。論旨はすべて理由がない。

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